東北再訪、海とともに生きるまちを訪ねて

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気仙沼から大船渡へ。5年ぶりに訪れた東北には春が訪れていた。

宮城県の北端にある漁港のまち

 「海と生きる」

 こんな言葉が市役所の壁に書かれていた。このシンプルな標語には、海に寄り添って暮らし、海から日々の糧を得る気仙沼の人びとの思いが詰まっている。そしてそれは同時に未来への力強い決意表明でもある。

 仙台駅からバスで約3時間。宮城県の北端にある気仙沼は、三陸海岸の一角をなす漁業の盛んな街だ。

Fishing Boat in KesennumaKesennuma City Fish Market

 内陸の地域から気仙沼を訪れた人にとって、内湾沿いの景色はとりわけ印象的だ。道路のすぐ脇が岸壁になっており、漁船が何隻も係留されている。ちょっと車を止めればすぐ漁に出ることができそうだ。対岸には造船所のドックがあり、この地がいかに深く海と結びついているかを物語っている。

 気仙沼市魚市場はそんな気仙沼の街の顔だ。2階には展望デッキがあり、午前7時ごろから水揚げされた魚が競りに出される光景を見学できる。残念ながら私が訪れたのは昼だったので、人影もなくがらんとしていた。

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気仙沼にやってきた春

 入り組んだ湾の行き止まりにあたる内湾地区では、今あちこちで工事が進められている。新しくオープンした「迎」(ムカエル)は、気仙沼生まれのコーヒーショップ「アンカーコーヒー」やレストランが入る商業施設だ。

Mukaeru in KesennumaKesennuma Oshima Ferry

 「迎」の正面にはかつての気仙沼大島行きフェリーが係船されている。気仙沼大島は気仙沼湾の先にある小島であり、景勝地の龍舞崎がある。2019年4月7日に気仙沼大島大橋が開通し、バスや車でのアクセスが可能になったことでフェリーの定期航路は廃止された。

 気仙沼プラザホテルのある小高い丘を登ると内湾が一望できる。私が訪れた4月の半ばは天気も心地よく、春の訪れをはっきりと感じることができた。

View of Kesennuma

BRTに乗って県境を越え、大船渡へ

 気仙沼駅からJR大船渡線のBRTに乗る。BRTといっても通常の路線バスと変わらない。唯一違うのはBRT専用レーンを走る区間があることくらいだ。この辺りは地形に富んでおり、バスはくねくねと何度もカーブしながら大船渡へと向かう。

JR Ofunato Line

 大船渡駅がある大船渡町も気仙沼に似て細長い湾に面した地域だ。私がBRTを降りたころには周囲は真っ暗になっていた。

 そんな暗闇のなかでも明るく賑やかな一角が目を惹く。駅からほど近い距離にある「キャッセン大船渡」だ。三陸海岸の海の幸を味わえる飲食店のほか、花屋から本屋まで揃っている。

Kakitoji-don at Wangan Shokudo

 夕食はキャッセン内の「湾岸食堂」で牡蠣とじ丼をオーダー。新鮮な牡蠣のフライはふっくらしていてジューシーだ。

 キャッセンの向かい側には岩手銘菓「かもめの玉子」にちなんだ「かもめテラス」がある。「かもめの玉子」を製造しているさいとう製菓の総本店として、お菓子の製造過程を見物したり、カフェで実際に味わったりすることができる店舗になっている。

Kamome Terrace in Ofunato
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朝の光が満ちあふれる大船渡

 この日は大船渡に宿泊。一夜明けて朝の街を歩くと、空気は澄んで空は青く晴れ渡っていた。

 大船渡の南部にはリアス式海岸の景勝地として有名な碁石海岸がある。宮城県の気仙沼から青森県の八戸まで3県にまたがる「三陸ジオパーク」の一部であり、自然が生み出した地形を眺めることができる。ちょっと足をのばすにはぴったりだ。

Suzaki River in Ofunato

 私は再び大船渡駅を目指して須崎川に架かる橋を渡る。川の水は淀みなく静かに流れている。この水は大船渡湾に流れ込み、やがて海と交わるのだろう。

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