東京会場は終了してしまいましたが、関西では会期延長中。兵庫県立美術館で11月8日(日)まで、つづく。
ブランドの魅力★★★★★
目新しさ★★★★
展示の充実度★★★
恥ずかしながらミナ ペルホネンというブランドを長い間知らなかったのですが、知ったきっかけは皆川明氏のインタビュー記事。
写真に写っていた生地のプリント柄が自然の親密さと都会的な洗練を兼ね備えている感じでとても印象的でした。
兵庫県立美術館で開催中の「つづく」展は、そんなブランドのコンセプトから可能性までを見させてくれる思った以上にスケールの大きな展覧会でした。

ミナ ペルホネンって北欧なの?
「ミナ ペルホネン」という言葉がフィンランド語だときいてなんとなくそんなイメージを持っていました。
北欧といえばユニークかつシンプルなデザインの食器や雑貨は定評がありますし、マリメッコのあの花柄は街角でも見かけるくらいポピュラーです。
「つづく」展はそんなわたしの先入観をいい意味で裏切ってくれました。
この展覧会では皆川明氏が手がけた生地や衣服が、その下絵となったスケッチとともに展示されています。
確かに動物や植物のモチーフはどこか北欧テイストなところはありますが、線香花火からインスピレーションを得たデザインがあったり、どこか奥ゆかしさもあり、「和」の雰囲気さえ感じられました。
なぜミナ ペルホネンが支持されるのか?

「つづく」展の一室ではワンピースやドレスが壁一面に並べられ、インスタレーションとして構成されていました。
それらの服をぐるりと眺めると、はじけるように鮮やかな色は少ないことに気づきました。どちらかというと落ち着いた色彩が多いのです。
でも、だからこそクローゼットに眠らせることなく、普段使いできる服になっているのではないでしょうか。
それはミナ ペルホネンのコンセプト、〈特別な日常服〉ともぴったりあてはまります。
質がよく長もちして、それでいて飽きのこない服。そこに価値が認められているのだと思います。
アパレルの終焉がささやかれ、SDGsやサステナビリティが叫ばれる現代において、ミナ ペルホネンは時代の先端を走っているようでした。
これからも「つづく」ものとは?

ミナ ペルホネンは単なる服飾ブランドにとどまらず、インテリアや宿泊施設のデザインまで手がけています。
シェアハウスならぬ「シェルハウス」と名づけられた宿泊施設は、貝殻の形をしたユニークな作品で、内部に入ると不思議な心地良さがありました。
このように皆川明氏がはじめた活動はジャンルの垣根を越えて続いています。
展覧会の最後にこんな言葉が書いてありました。
変わり続けることを ずっと変わらずにすること。
変わらないでいることが 変わったことになること。
「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」
ある老舗企業の社長が、ブランドを守り続けるために変えてはいけないものはなにかと問われ、「そんなものはなにもない」と答えていた意味がようやくわかりました。
お得な情報
「つづく」展の観覧券の半券で、横尾忠則現代美術館の入館料が割引になります。こちらでは12月20日(日)まで「横尾忠則の緊急事態宣言」展を開催中。